こんにちは、みなさん。気がつけば、私の住むカナダでは、夏が背を向けて去っていこうとしている感じです。北国に長らくいると、夏の終わりの日差しに敏感になり、もの悲しくなると同時に、せっせと日光浴に励みだすんです。
多頭から寡頭へ!
BOOKPOTが同人誌に挑戦していることは前回もお伝えしましたが、人海戦術でこなす作業は終わり、ここからは人数を絞って少人数で作業を続けるようです。……と他人事のような書き方をしているのは、私には貢献できる特殊技能がないため、みなさんにお任せしているからなのです。私はフリーランスになる前、マネージメントを長年していたので、人に任せて自分があぐらをかくことにかけては実績があります。というのは冗談で、ただ単に同人誌の作り方を知っている人や編集能力を持っている人たちのあとをついてまわっているだけです。
「目標は来年1月の文学フリマ京都」と宣言したところ、カナダの友人から、「知り合いがおそらく文学フリマ京都に出店するだろうから、紹介したい」と声がかかりました。何事も告知しておくべきですね。輪が広がるってすてきじゃないですか!?
今週気になった書評
BOOKPOTは海外文学書評クラブなので、課題書に和書はあえて選んでいません。例外は佐藤亜紀さんの『喜べ、幸なる魂よ』くらいでしょうか。海外の著作を書評するときは、つい背景を「説明」したくなりますよね。
東京新聞の書評欄で、若松英輔さんが志村ふくみさんの『野の果て』を書評されているのを読みました。日本に住んでいる人なら、志村さんの説明などなくても、ある程度わかる。作品を知っている人も多い。だから、志村さんのあまり知られていない一面を紹介する。そして、いかにも和書らしい書評で、美しい装丁に負けない(あるいは、志村さんの染織作品への敬意あふれる)言葉選びだなと思いました。
私にはこういう文章は書けない。真似ようとしたって、化けの皮がすぐはがれるという自覚があります。
BOOKPOTメンバーの小説紹介
BOOKPOTTERSの一人、尾張恵子さんは小説も長年書いていらっしゃいます。その尾張さんの作品「虫草」が徳島文学協会主催の「阿波しらさぎ文学賞」の最終候補に選ばれていました!「万庭苔子」というペンネームで書いていらっしゃいます。
「虫草」ってなんだろう?と静かな出だしを読みはじめると、途中で話がぐんと加速する瞬間があります。読んでいる私の顔が突風でなぶられ、主人公の心の中に煮えたぎる何かがあることを知るような瞬間です。舞台は山の中なのに、どこか宇宙っぽくて不思議です。
これが受賞作品でないなんて!?と、むしろ「阿波しらさぎ文学賞」のレベルの高さを知りました。
note に作品を公開していらっしゃるので、是非みなさんもお読みください。書評に翻訳に創作にと、精力的に文筆活動をしていらっしゃるのがうらやましいかぎりです。
それではみなさん、今週も元気にお過ごしください。