すっかり春ですね。小学校に入学したてのちびっこが親戚にいるのですが、ベイブレードの虜になり、攻略法の研究に忙しく、学校の勉強どころではないとのことです。頼もしい?!
6回目の書評講座!
13本の書評を講評&合評し、意見も活発に交わされて、白熱した時間を過ごしました。うち4本が課題書の『ハリケーンの季節』(フェルナンダ・メルチョール著、宇野和美訳、早川書房)でした。他にも、こんな書評が集まりました。
『蜜のように甘く』『幸いなるハリー』イーディス・パールマン短篇集(古屋美登里訳、亜紀書房)
『結婚/毒』トーヴェ・ディトレウセン著(枇谷玲子訳、みすず書房)
『砂漠の林檎——イスラエル短編傑作選』サヴィヨン・リーブレヒト著(母袋夏生訳、河出書房新社)
『シガレット』ハリー・マシューズ著(木原善彦訳、白水社)
『人類の深奥に秘められた記憶』モアメド・ムブガル・サール
『エル・スール』アデライダ・ガルシア=モラレス著(野谷文昭、熊倉靖子訳、インスクリプト)
『恥辱』J.M.クッツェー著(鴻巣 友季子、ハヤカワepi文庫)
『闇に願いを』クリスティーナ・スーントーンヴァット著(こだまともこ、辻村万実訳、静山社)
『リリアンと燃える双子の終わらない夏』ケヴィン・ウィルソン著(芹澤恵訳、集英社)
書評王は『ハリケーンの季節』の溝渕さんでした!
後日、『ハリケーンの季節』で書評を書いた人だけで座談会を開き、あの小説に出てくる「こぶとりじいさん」のような民話について話し合いました。ポルトガルやスペイン、韓国など、世界各地に「こぶとり」の民話ってあるのですね!
『ハリケーンの季節』はNetflixで映画になっています。上手に4人の語り手役の俳優さんを選んでいるし、「魔女」のビジュアル化が衝撃的でした。
次回書評講座は6月に開催したいと思っています。初参加の方もお待ちしてます!
今週の書評
週刊『読書人』4月12日号に、Bookpotters のお一人、上原尚子さんの書評が掲載されています。村山由佳著『二人キリ』(集英社)です。この小説を読もうかなと検討している方は、是非、上原さんの書評をお読みください。
https://dokushojin.net/news/505/
今週のお知らせ
Bookpotters のお一人、尾張惠子さんの短編が、「万庭苔子」名で、『沈んだ名 故郷喪失アンソロジー』というアンソロジーに掲載されます。
現在クラウドファンディング中で、そのリターンにブックガイドがあり、そちらにも寄稿される予定だそうです。
故郷喪失者たち(総勢13名)の作品をまとめた『沈んだ名 故郷喪失アンソロジー』 - CAMPFIRE (キャンプファイヤー) (camp-fire.jp)
ご興味のある方は、是非ご協力ください。
故郷喪失って、海外在住者にとってはある程度の年齢に差し掛かると、非常に大きな悩みになります。私もそうです。知り合いの女性は96歳のときに、「これが日本への最後の帰国」と決めて帰り、直接会いたい人全員に2カ月かけて今生の別れをし、日本への未練を断ち切ったと話していらっしゃいました(もうすぐ101歳になられる)。故郷はどこなのか、という問題もありますし、故郷でないほうを捨てたとしても喪失感は襲ってくるでしょう。きっぱりと決められないうちに、人生が終わることもあるかもしれませんしね。
しんみりしちゃいましたが、明るい春を楽しみましょう!