こんにちは、みなさん。しばらくヨーロッパを旅していました。パリのホテルの近くに、有名な「シェイクスピア・アンド・カンパニー書店」があったので、立ち寄りました。これまでにも何度か立ち寄ったことがあるのですが、今回は入口で入場制限をするほどの人出で、びっくりしました。映画『ビフォア・サンセット』の影響力にしては、映画が古いような? それとも最近何かあったのでしょうか? 『星の時』を書いたクラリッセ・リスペクトルも生前にここを訪れたようで、写真が飾られていました。
河出から『シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々』なんていう本も出ているのですね。
同人誌を鋭意作成中!
BOOKPOTはただいま同人誌を作成中です。翻訳文学書評クラブとして、これまで講師にしごかれながら書いた書評とその学びを公開する予定です。目標は来年1月の文学フリマ京都です。日が近づいたら告知しますね。
BOOKPOTには文芸翻訳同人誌を作って販売しているメンバーさんがいます。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、「ほんやく日和」という、おもに19‐20世紀の女性作家の作品を翻訳している同人誌です。その「ほんやく日和」さんが来月、『ほんやく日和vol.4』を引っ提げて、文学フリマ大阪に出店されるそうです。「ほんやく日和」さんのご厚意で、BOOKPOTの同人誌の宣伝チラシをブースに置いてもらうことになりました。大阪の文学フリマに行かれる方は是非、こちらのブースにお立ち寄りください(ブース番号は J-11-12)。
『ほんやく日和vol.4』、今からとても楽しみです。私はvol.1から3まで持ってますが、すごく素敵な同人誌ですよ。みなさまもお読みください。
今週気になった書評
われら講師豊崎由美さんが少し前にSNSで書評の長さについて呟いていました。字数制限って情報の取捨選択に関わる問題だから、とても重要です。
その豊崎さんが書評されていたのが『阿修羅ガール』(注:最近の書評ではありません)。豊崎さんが「自分でもよく書けた書評だ」とおっしゃっていたので、リンクをだどって読みにいくと、こんな出だしになっていました。
昨年末、雑誌『ダ・ヴィンチ』に載っていた読者アンケートにニマァ~ッとなった(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2003年)。「来年ブレイクしそうな作家」の欄に舞城王太郎の名を見つけたのだ。で、この名を挙げた二〇代女子の推薦の弁が「あたしが周りに宣伝しまくるから」。
笑った。
うなずいた。
好きな作家を「推す」といえば、豊崎さん自身が故西村健太さんを強く推していたのを思い出し、思わず笑ってしまいました。
文芸批評の専門家でない私たちなら、「推し書評」をどんどん書いていくのも面白そうではないですか!? 作品(あるいは作家)に対する熱と情報量のバランスをうまくとるのが難しそうで、熱ばかりが伝わるいびつな書評になりそう!
BOOKPOTメンバーの訳書紹介
BOOKPOTTERSの一人、加来順子さんが扶桑社から『野獣の血』という訳書を出されました。大阪弁で訳した試みが話題になっていましたが、原書がそもそも方言で書かれている場合に日本語の方言にどのように置き換えるのか、はたまた標準語で通すのかはとても難しい問題。私は『野獣の血』ではそれがとてもうまくいっていると思いました。読者が特定の方言に対してどんなイメージを持っているのかにもよるのかもしれません。加来さんの勇気ある決断に祝杯をあげたい気分です。版元である扶桑社のウェブサイトはこちらです。加来さんが訳した『キャビネット』はこの書評講座でも課題書になったことがありますよ。そちらもぜひ。
それではみなさん、今週も元気にお過ごしください。