2025年は書評講座が1回だけだったけど
読書会は2回 、Bookpottersとして毎月書評コラムを担当するようになりました
みなさま、もう年末ですね。いかがお過ごしですか? この一年を振り返ろうとしたところ、書評講座は1回しか開けていませんでした。今年はソウルとフランクフルトのブックフェアに行ったり、翻訳で忙しかったりしたからだと思うのですが。ロンドンのブックフェアにも行きたいなと思っていて、今お財布と相談中です。
ブックフェアへは観光気分で行ったのですが、いろいろな本と人との出会いもあり、なかなか楽しくてオススメです。
普段机にかじりついて翻訳してばかりなので忘れがちですが、ブックフェアに行き、改めて思ったのは、自分はコンテンツ・メディア業界の端っこにいるという事実です。AIの荒波に翻弄されることばかりが取り沙汰されますが、コンテンツ制作は「書く」ところから始まります。それに、翻訳者は二言語以上が絡んだコンテンツは高くつくことを身をもって知っている位置にいる。ブックフェアに行くと、英訳されていないがために、あるいは他の外国語ができないために、知りえないコンテンツが山のようにあることを思い知らされます。1言語しかできなければ、わからない、理解しづらいコンテンツが山のようにあるわけです。翻訳者はその理解を助けるための補助線を引く仕事ができる。そう、「補助線を引く」作業は書評講座でも時々話題になります。訳者あとがきもそうですよね。日本の読者に馴染みのない内容、複雑な構造などを少しだけ説明して、補助線を引く。
ブックフェアでは、書籍の販路の開き方についても、それを専門にしている人から個人的に話をうかがう機会がありました。販路が開かれなければ、いいものがあってもなかなか世界に売るのは難しい。大きな岩をガンガンと数年かけて崩して販路ができた話や、今まで売れなかったものが「辣腕」「目利き」と言われる人の目に留まって、バァ〜っと急に売れることもある。それを聞いて私は、「なんだ、そういうところはAIじゃなくて、人間とお金の使い方次第なんだ!」と思い、勇気が出ました。
翻訳者にすぎないから、そんな大きな話は関係ない、と思われるかもしれませんが、私はそんなことないと思います。私たちはほぼ全員個人事業主。ちょっと大きな視点で物事を考える時間だって必要。年末年始ってまさにそういう時間ですよね(家族のことで時間をとられもするけど……)。
というわけで、Bookpottersの2025年の振り返りです。
2025年4月に開いた書評講座の課題書は
でした。どちらも話し合いがいのある作品でしたし、訳者の桑原さんも参加してくださって、翻訳秘話もうかがえたのがよかったです。
来年1月24日に久しぶりに書評講座を開きます。合評からの参加なら、まだ2名くらいは受け付けられます。課題書も興味深いですし、どんなものなのかなと思っている方には、視聴のみの参加方法もあります。
読書会は『ハリネズミ・モンテカルロ食人記・森の中の林』と『ジェイムズ』で2回開きました。『ジェイムズ』は特に、参加者の「集合知」が生かされた読書会となって、何倍も作品を楽しめました。
読書会は課題書を決める月と読書会月を交互に開いているのですが、『ハリネズミ・モンテカルロ食人記・森の中の林』を選び出す前に、東アジアの作品で候補がたくさんあがって、絞るのに楽しい一苦労があったのを思い出しました。
Bookpottersの同人誌制作も今エンジンがかかっていて、とても楽しみです。来年完成できたらいいなぁと思っています。今度の同人誌には私は執筆では関わっていないので、のんびりと純粋に出来上がるのを待っている感じです。お楽しみに!
今年からトロントの生活情報誌『Torja』にBookpotters の書評コラムを設けていただき、毎月書評を書きました。毎月何かを書くって結構忙しいなと感じたので、来年はもう少し余裕をもってやりたい。書評講座で書いた書評を書き直して発表する場にしてもらうのも大歓迎です。トロントは映画産業が盛んなので、もう少し映画やドラマの原作を増やしたり、映像に関する本の書評もいいかな、なんて考えているところです。『Torja』以外にも、『図書新聞』『週間読書人』へ書評を書いているBookpottersさんも多く、その活躍ぶりに刺激されています。
Bookpottersの書評
待場京子さんの書評です。
キム・ソヨン著『チキン半々 大根多めで』(下橋美和訳、影書房)の書評が図書新聞3717号(2026年1月1日号)に掲載されました。韓国現代史を庶民の食べ物で切り取った、美味しく読めるYA短編集です。
上原尚子さんの書評です。
週間 読書人 2025年12月5日号に、フランチェスカ・スコッティ著『亀たちの時間』(北代美和子訳、現代書館)の書評が掲載されました。
引き続き、トロントの生活情報誌「Torja(トルジャ)」でも「翻訳の窓から — 書評で読む世界」というコラムで、Bookpottersが書評を書いています。紙版が先行するので、2カ月ほどずれて下記リンクからもお読みいただけます。
次の読書会
2月6日(金)の読書会の課題書は、マリアーナ・エンリケス『秘儀』(宮崎真紀訳、新潮社)です。
3月27日(金)には、ジョゼ・サラマーゴ『修道院覚書』で読書会します。木下眞穂さんに来ていただく予定です。すご〜く楽しみ!
読書会に関心のある方はknsbookclub@gmail.com宛にメールでご連絡ください。書評講座からご参加いただくとより楽しめると思います。
それではみなさまよいお年を!

